CCSBTは、遵守計画を採択しています。同計画は、CCSBT戦略計画を支持するとともに、CCSBT、メンバー及び協力的非加盟国に対して、それらのCCSBT保存管理措置に対する遵守を向上させ、将来的にその完全遵守を達成させる枠組みを示すものです。 また、同計画には、優先的な遵守リスクに取り組むための「遵守行動計画」が含まれています。この遵守行動計画は毎年レビューされており、追認されるか又は更新されています。したがって、この行動計画は、「生きた」文書となり、重点項目は、今後変更されることとなります。現行の遵守行動計画(2018 - 2020年)は2022年まで延長されました。
遵守政策ガイドライン
CCSBTは、以下に記載する4つの遵守政策ガイドラインを採択しています。
- CCSBTの義務を遂行するための最低履行要件(2021年10月更新)
- 是正措置政策(2018年10月更新)
- MCS に関する情報収集及び共有(2019年10月更新)
極めて特殊な状況に関する行動原則及び取られるべき措置に関するガイドライン(2020年10月採択)
非遵守に関する記録
全世界のみなみまぐろの総漁獲可能量にかかるメンバーへの国別配分量の非遵守事例、及び非遵守に対応してとられた是正措置に関する記録はここから参照可能です。
メンバーによるCCSBT保存管理措置の遵守状況の概要は、第17回遵守委員会会合報告書の中で確認することができます。
品質保証レビュー
CCSBTは、メンバーのCCSBTの義務に対する管理システムの機能がどの程度適切かをメンバーが確認することを支援するための独立レビューを提供し、また、改善が必要な分野に関する勧告を提供するための品質保証レビュー(QAR)プログラムを実施しました。QARでは以下のようなことも意図しています。
- レビューを受けたメンバーのモニタリング及び報告システムの完全性及び頑健性に関する信頼性を高めること
- 各メンバーの履行報告の品質にかかる全てのメンバー間の信頼を促進すること
- 責任ある地域漁業管理機関としてのCCSBTの信頼性及び国際的な評価を実例をもって示すこと
以下のQARが実施済みとなっています。
年 | メンバー/CNM | Type of QAR |
2013 | オーストラリア、韓国、日本、ニュージーランド | 机上レビュー |
2014 | 漁業主体台湾 | 机上レビュー |
2014 | オーストラリア、インドネシア | 現地レビュー |
2015 | 日本 | 現地レビュー |
2016 | 韓国、ニュージーランド | 現地レビュー |
2017 | 漁業主体台湾 | 現地レビュー |
2018 | 南アフリカ | 現地レビュー |
2020-2021 | 欧州連合 | 机上レビュー |
以下のセクションでは、CCSBTの個別のMCS措置について説明します。
許可船舶・蓄養場リスト
CCSBTには、以下に掲げる船舶や蓄養場が登録されています。
CCSBTのメンバー及び協力的非加盟国は、これらのリストに掲載されていない漁船によって漁獲されたSBT、蓄養場から収穫されたSBT、又は運搬船に転載されたSBTの水揚げや貿易などを認めないこととしています。また、許可船舶決議には、漁船に対してIMOナンバーを取得させる必要がある特定の船舶カテゴリに関する要件が含まれています。
漁船監視システム
CCSBT漁船監視システム(VMS)は、第15回委員会年次会合の直後の2008年 10月27日から施行しています。これにより、SBTを漁獲又は収獲する漁船を有するCCSBTのメンバー及び協力的非加盟国は、SBT漁業が行われるそれぞれの条約水域に応じてIOTC、WCPFC、CCAMLR及びICCATのVMSの要件に適合する衛星と連携したVMSを採用及び導入しなければなりません。IOTC、WCPFC、CCAMLR又はICCATの条約水域に含まれない排他的経済水域においてSBTを漁獲又は収獲する船舶に対しては、各メンバー/CNMそれぞれの国内法に基づいてVMSが運用されなければなりません。これらの水域外で漁業を行う際には、IOTCのVMSの要件に従う必要があります。
CCSBT VMSの全体の詳細は、CCSBT漁船監視システム(VMS)に関する決議 において入手可能です。
漁獲証明制度
CCSBT漁獲証明制度(CDS)は、2010年1月1日から施行され、2000年6月から運用されていた統計証明書計画(貿易情報スキーム)と置き換わりました。このCDSでは、漁獲から国内又は輸出市場での最初の販売時点までの合法的な SBT製品の流通の追跡と確認を規定しています。CDSの一環として、SBTのすべての転載、国産品の水揚げ、輸入及び再輸出について、適切なCCSBT CDSの文書が添付されなければならず、それらは漁獲モニタリング様式及び場合によっては再輸出/国産品水揚げ後の輸出様式を含みます。同様に、SBTの蓄養場への移送又は蓄養場間の移送については、蓄養活け込み様式又は蓄養移送様式のどちらかを適宜作成することになります。さらに、転載、国産品としての水揚げ、輸出、輸入又は再輸出される丸の状態のSBTについては、固有の番号のついた標識を装着しなければならず、またすべてのSBTの標識番号は(その他の詳細とともに)、漁獲標識様式に記録されることとなります。発行及び受領したすべての文書の写しは、電子データーベースの作成、分析、食い違いの確認、調整及び報告のため、四半期ごとにCCSBT事務局に提出されます。
CCSBT CDSの全体の詳細は、CCSBT漁獲証明制度の実施に関する決議(2021年10月更新) において入手可能です。
一部のメンバーは、CCSBT CDS 一元管理標識をSBTに装着しています。この標識はCCSBT事務局を通じて購入されており、各政府を通じて関連漁業者に配布されています。この標識の装着方法につきましては、以下のマニュアル(三カ国語)をご覧ください。
このほかに使用されている主な標識としては、オーストラリア及び韓国によって使用されているものがあります。このオーストラリアが使用している標識の装着方法は、以下のとおりです。
SBT 転載の監視
CCSBTの洋上転載のモニタリングに関する計画は、2009年4月1日から施行されました。同計画は、港内転載のモニタリングに関する要件を含める形で改正され、2015年1月1日から発効しています。
冷凍能力を備えるまぐろはえ縄漁船(以下「LSTLVs」という)からの洋上での転載には以下の要件があります。
- 運搬船は、LSTLVsから洋上でSBT の転載を受け取ることが許可されていなければならない。
- そのような転載が行われる際、運搬船にCCSBTオブザーバーが乗船していなければならない。
このCCSBT転載計画は、同様な措置の重複を避けるため、ICCAT及びIOTCにおけるこれらの制度と調和させる形で運用しています。SBTを受け取ることを認められた転載船に乗船するICCAT又はIOTCのオブザーバーは、CCSBTの基準に合致していることを条件にCCSBTオブザーバーとして見なされます。
港内転載は、指定された外国の港において、許可された運搬船(コンテナ船は除く)によって行われなければならず、かつ寄港国への事前通知、旗国への通知、及び寄港国、旗国及びCCSBT事務局へのCCSBT転載申告書の送付といった追加的な要件を満たさなければなりません。
CCSBT転載計画の全体の詳細は、大型漁船の転載に対する計画創設に関する決議 (2017年10月更新)において入手可能です。
寄港国措置
CCSBTは、2015年10月に港内検査の最低基準を定めたCCSBT制度に関する決議を採択しました。決議は、2017年1月1日に発効し、直近では2018年10月に改正されました。本制度は、コンテナ船を除く運搬船を含む外国漁船に対して適用されるものです。
本制度の下で、SBT又はSBTに由来する水産物(それ以前に水揚げ又は港内転載が実施されていないもの)を保持する外国漁船/運搬船による自国の港への寄港を許可しようとするメンバーは、特に以下を実施するものとされています。
- 通知を受領するための連絡先を指定すること
- 外国漁船が入港を要請することができる港を指定すること
- 全ての指定港において、検査を実施するための十分な能力を確保すること
- 自国の港を陸揚げないし転載のために使用しようとしている外国漁船に対し、遅くとも72時間前までに、最低限の基準として定められた情報の提出を求めること
- 毎年、指定港において陸揚げ及び転載を行う外国漁船(SBTを積載する船舶)のうち、少なくとも5%について検査を実施すること
SBTに関する IUU漁業活動への関与が推測される船舶のリスト
CCSBTは、みなみまぐろに関する違法、無報告、無規制漁業活動への関与が推測される船舶のリストの設立に関する決議(2019年10月改正)を採択しています。
CCSBTは、毎年の年次会合において、条約及び実施中のCCSBTの措置の有効性を低下させるようなSBT漁業活動を行った船舶を特定する機会を設けています。CCSBT IUU船舶リストに船舶が掲載された場合、これらの船舶はこのウェブサイトに掲載され、適切な地域漁業機関に回章されることになります。さらに、2019年10月17日以降は、IATTC、ICCAT、IOTC、WCPFC、CCAMLR、SEAFO、SIOFA及びSPRFMOのIUU船舶リストに掲載された船舶をCCSBTのIUU船舶リストに相互掲載することが可能となっています。
CCSBT IUU船舶リストについては、ここから入手可能です。
行動計画
過去、便宜置籍船によって多くのみなみまぐろが漁獲されその量は増加していました。資源の慎重な管理が必要な中で、これらの漁船の活動によりメンバーによる保存措置が損なわれることはCCSBTにとって重大な懸案事項でした。委員会は、これら国々に保存管理措置への協力を要請しています。そして、これらの国々からの協力が見られない場合には、2000年3月に採択された行動計画決議 に従い貿易制限を含む措置を検討する旨通知しています。